シーテックが水力発電事業へ参入 中部電力と協定締結 岐阜に新設

シーテックが水力発電事業へ参入 中部電力と協定締結 岐阜に新設
                【電気新聞 2014/04/22 5頁 712字】

 中部電力グループのシーテック(名古屋市、松山彰社長)と中部電力は21
日、中部電力が所有する秋神ダム(岐阜県高山市)を利用した290キロワット
の秋神水力発電所を新設すると発表した。シーテックが発電所を開発・運営し、
発電した電気を中部電力に売る。シーテックが水力発電事業に参入するのは初め
て。2015年9月に着工し、16年4月の営業運転開始を目指す。想定年間発
電量は約133万キロワット時で、一般家庭約370世帯分の年間使用電力量を
賄える。

 シーテックと中部電力は同日、秋神水力発電所の新設に関する基本協定を締
結。設備の所有・区分管理や発電に関する管理・運用の基本方針などを定めた。

 新設する秋神水力発電所は、秋神ダムの落差と河川環境を維持するための放流
水を有効利用した維持流量発電所で、再生可能エネルギーの一層の推進につなが
る。秋神水力発電所の稼働によるCO2(二酸化炭素)削減量は、年間700ト
ン程度の見込みだ。

 秋神水力発電所は秋神ダムの直下にある既設の維持流量放流管に分岐部を設け
るとともに、水圧鉄管、水車・発電機、発電所建屋を新設。発電後の流水は現在
と同様に既設排砂路に流す。小規模な設備建設で済むため、早期の開発が可能だ。

 今回の事業はシーテック側の働き掛けで実現した。中部電力のダムを利用し、
グループ会社が小水力発電を手掛ける枠組みは初めて。中部電力では今後もグ
ループ一体となり、一般水力発電や維持流量発電の継続的な開発に努める方針を
示している。

 木曽川水系の秋神川に位置する秋神ダムは、1953年に運用を開始。高さは
74メートルで、流す水は朝日水力発電所を動かすために使われている。